言語聴覚療法 対象となる障害 教材の一例 言語聴覚療法について ST(Speech-Language-Hearing Therapy) 言語聴覚療法部門では、言語聴覚士(ST)2名が、ことばによるコミュニケーション、注意・記憶などさまざまな高次脳機能、食べること・飲み込むことに関するリハビリテーションをおこなっています。当部門では、患者様・ご家族が安心・納得し、積極的に訓練に取り組めるよう、丁寧な問診・説明を心がけています。体調・意欲に配慮し、患者様の気持ちに寄り添いながら訓練を進め、機能回復・生活再建を目指します。家族指導や日常生活に関するアドバイスも積極的におこなっています。また、就学前のお子様の構音評価・訓練も行っています。 言語聴覚療法室内の様子 対象となる障害 失語症 大脳の言語領域が損傷を受けることで、「聴く・話す・読む・書く」という言葉の機能が障害された状態を言い、日常会話や仕事が困難となります。記憶力や判断力は保たれており、「認知症」とは異なります。訓練では「聴く・話す・読む・書く」という4つ機能について、改善を目指しさまざまな練習をおこないます。また、会話の能力を高める練習やコミュニケーション方法のアドバイスもおこないます。 訓練の一例 【聴覚的理解の訓練】 失語症の訓練。単語を聴いて、意味を理解して絵を指差します。 【書称(しょしょう)訓練】 失語症の訓練。絵を見て、単語を書きます。 構音障害 舌や唇などの麻痺や舌癌などにより、「ろれつが回らなくなる」「声が出にくくなる」といった状態になり、発話が困難となります。失語症と異なり、言語機能は保たれているので、50音表を指さしたり、文字を書いて意思疎通をおこなうことがあります。 訓練の一例 【口腔器官の運動訓練】 鏡を見ながら唇、舌、頬などを動かします。自分で動かすことが難しい場合、介助にておこないます。 高次脳機能障害 注意、空間認知、記憶、遂行(物事を計画的に効率よくおこなうこと)などの機能が低下し、日常生活をスムーズにおこなったり仕事をすることが困難となります。病識が低下しご本人の自覚が乏しい場合もあります。 【検査用具】 当院で使用している検査の一部です。注意、記憶、知的機能などの障害構造を詳細に把握し、評価や訓練プログラムの立案に役立てます。 訓練の一例 パズルを使って、注意力・遂行機能などの訓練をおこないます。患者さんに合わせてさまざまな難易度のものを使い分けています。そのほか計算、迷路、文字探しなど様々なプリント教材も使用します。 摂食・嚥下障害 認知の問題や感覚の異常、運動障害により食物や液体をうまく飲み込めなくなります。低栄養や誤嚥性肺炎の原因になります。 評価の一例 【改訂版水のみテスト】 3ccの水を飲みこんで、嚥下障害の有無や程度を調べます。 【直接的嚥下訓練】 摂食開始時にはゼリーなど飲み込みやすい食材を用いて、飲み込みの練習をおこないます。患者さんが安全に飲み込める条件や方法を考え、体調をみながら慎重に進めていきます。 教材の一例 失語症や高次脳機能障害の訓練用教材。 オリジナルで作成したプリント教材の他、様々な教材を患者様の症状に合わせて使用しています。